新着情報

暖かい卒業式〜校長式辞〜

月曜日は共学化後4期生の卒業証書授与式でした。とても暖かい雰囲気の式でした。また、お招き頂いた謝恩会も生徒・保護者・先生方が作り上げてきた文化がよく表れた、素晴らしい雰囲気のものでした。校長となった私にとって初めての卒業式で感謝感激の一日でした。

拙いものですが、私の式辞を共有させていただきます。今回の式には保護者席に卒業生も数名参列してくれました。式後、早速私のところに来てくれて、スピーチの話し方、証書の読み上げ方等について的確なフィードバックをしてくれました。次に生かそうと思います。率直にアドバイスしてくれる教え子たちに恵まれていることにも感謝です。

 

〜開智日本橋学園 2023年度卒業証書授与式 校長式辞〜

 

131名の卒業生諸君、改めて卒業おめでとう。保護者の皆様にも、心よりお祝いを申し上げます。また、ご来賓の皆様におかれましては、お忙しい中ご臨席を賜り、卒業生の門出を共に祝って頂きますことを厚く御礼申し上げます。4期生は私が校長に就任して初めての卒業生ということもあり、とても感慨深い気持ちです。

 

4期生はコロナ禍という大変な出来事を体験しました。「向かい風の中を」進まなくてはならない時期がとても多かったのです。

 

学校生活で最も活発に活動する中高6年間のど真ん中の3、4年次に「緊急事態宣言」「不要不急の活動の自粛」。これらの言葉、覚えていますか?思い返すと本当に厳しい時期、向かい風の時期だったと思うのです。もっとも多感で探究心旺盛な皆様にとってどれほど辛かっただろうか?と考えます。授業はオンラインになったり、半日授業になったり。昼食は無言で食べなければならず、コミュニケーションもままならない。運動や部活もほぼできない。それだけでなく、例えば英国FW、関西FW等の行事も行けるか行けないか分からない。関西FWは何回延期になったか?この先どうなるかわからない、不安な状態の中で、しかもコロナの制約でコミュニケーションに制約もある中で、FW実行委員のみんなを中心に準備を続けた。だからこそ、最後に実施できたのだと思います。

 

向かい風の状況の中でも4期生、あなた方は、厳しい状況を受け入れ、「粘り強く」そして「協力しながら」やっていったと思うのです。そして、学校の伝統となっていく活動を成し遂げていったことを忘れてはなりません。向かい風の中で頑張ったからこその成長も大きかったことに、今一度気付いて欲しい。自信を持って欲しい。

 

向かい風のしんどい中でも、例えば、

・開橋祭:コロナで制限がある中で後輩とも協力しながら実現。ストップしていた形を必死に取り戻しました。

・体育祭:それまではなかった、体育の授業に体育祭の準備を組み込んで、生徒と教員が一体となって準備する伝統が始まりました。

・生徒校舎案内ツアー:4期生のリーダーから「生徒自身が校舎を案内しながら学校を説明する活動をしたい」と提案があり、全校から80名の生徒ボランティアが集まって毎年累計約1,000組以上の入学希望者を案内する「生徒校舎案内ツアー」が誕生。この活動は後輩が受け継ぎ当校の目玉イベントになっています。当校を受験する生徒が大幅に増えた大きな理由です。

・生徒ラウンジ:今ではたくさんの生徒が活用するオアシスとなっている空間。後輩は感謝していると思います。

・Alympiad:団体の数学選手権の全国優勝・世界大会5位。これも後輩が受け継ぎ、今年度の全国大会連覇に繋がりました。

このほかにも紹介しきれない活動がたくさんあります。

 

「向かい風の中でも、粘り強く頑張り続ければ良いことがある。」この、シンプルではありますが、大切なことを自分たちで証明したことに自信を持って欲しいです。これから大学や社会に出ても向かい風に翻弄される時は幾度となくあるでしょう。その時に中高時代で得たこの経験を糧にして欲しいのです。

 

また、「自分独自のユニークな意見を持って主体的に実行すれば、未来は切り開かれるということ。」これにも自信を持って欲しい。日本は自分の意見を持つことが難しいと言われる時もあります。しかし、生徒が主体的に活動することが多いこの学校だからこそ、意見を持つことが自然に身につく。開智日本橋生の特徴として大学で活躍している先輩等から最もよく聞くコメントです。

 

どうせ自分の意見を言ったってなかなか受け入れられないと諦めるのではなく、また、うまくいかなかった時の言い訳のためにできない理由を並べ立てるのではなく、あなた方は向かい風の中でも「どうすればできるか」を粘り強く考え続け、主体的に実行していったからこそ、これらのことができたのです。

 

この1年の大学受験期でも、あなた方の主体性を大切にする気持ち、粘り強さ、暖かく皆で協力しようという雰囲気を感じました。私が別館を訪ねると元気よく挨拶してくれ、受け入れてくれました。生徒も先生方も。多くの生徒が校長室を訪ねてくれ、悩みを共有したり、高みを目指す決意を共有してくれたり、夢を語ってくれました。物事、うまくいったらもちろんよし。でも、うまくいかなくても粘り強さと自分のありのままを大切にする気持ちがあれば、次こそうまくいくものです。前向きなプロセスこそが大事です。大人になってもこの繰り返しです。卒業しても我々は君たちをサポートしたいと思っています。4期生の6年間は、向かい風に立ち向かい、人としての土台を自然に身につける機会になりました。大丈夫。君たちはどんな風の中でも羽ばたいていけます。

 

最後になりますが、暖かい目で学校の運営にご協力いただいた保護者の皆様に感謝いたします。そして、生徒が主体的に活動できるような学年文化を作り上げ、我慢強く、粘り強く生徒に寄り添い続けてくれたU先生をはじめとする全ての先生方に感謝いたします。

131名の門出をあらためてお祝いし、皆様のご健勝とご活躍をお祈りを申し上げ、校長式辞といたします。

 

令和6年3月11日

開智日本橋学園高等学校 校長 近藤健志