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5期生を送り出しました(嬉涙)!:卒業式スピーチ
先週は5期生の卒業式が行われました。とてもあたたかく、みんなの表情に感謝の気持ちで溢れている式と謝恩会でした。卒業証書を138名一人一人に手渡すときは嬉しい気持ちと寂しい気もしが交錯する、複雑な感情でした。
僭越ですが、私の卒業式でのスピーチを共有させていただきます。

開智日本橋学園 第5期生 卒業式 校長式辞
It is with great joy and deep gratitude that I stand before you today to celebrate this special occasion. First and foremost, I want to express my deepest appreciation to our 138 graduates and their families. Thank you for your consistent support, dedication, and trust in our school community.
To our graduates—over the years, you have grown tremendously, not only in knowledge and skill but also in character. You have faced challenges with resilience, embraced new experiences with curiosity, and supported one another with kindness. Your journey has been remarkable, and I am incredibly proud of each and every one of you.
Beyond your individual achievements, you have played a vital role in shaping the heart of our young school. Through your leadership, friendship, and spirit, you have contributed to building the foundation of developing a warm, inclusive, and inspiring community—one that continues to flourish because of your efforts. You have left a legacy that will guide and uplift the younger students who follow in your footsteps.
From here, I would like to switch to speaking in Japanese.
卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。また、本日まで温かく見守り、支えてこられた保護者の皆様にも心よりお祝いを申し上げます。そして、日々指導に尽力された先生方にも感謝を申し上げます。昨日の六送会、盛り上がりましたね。
さて、本校が大切にしていること、それは主体性を育むことです。自分で考え、判断し、主体的に行動すること。5期生の皆さんは、まさにこの主体性を体現し、お互いを尊重し、ありのままを受け入れる文化を築いてきました。本当に気持ちのいい生徒たちです。それぞれが個性を発揮しながら切磋琢磨し、学校全体の発展に貢献してくれました。
特に、5期生がリーダーシップを発揮した5年生の時、例えば体育祭では「一体感」を掲げ、競技に参加する人も応援する人も一体となる新たな形を作り上げました。船橋アリーナを埋めた、全校が一つになる体育祭の伝統は、5期生の皆さんが築いたものです。応援団、リレー、障害物競走等で会場全体が総立ちになって応援していた光景は、まさに5期生が生み出した「一体感」を象徴していました。あの熱気と興奮は体育祭の伝統となり後輩たちにしっかりと受け継がれています。
開橋祭においても、5期生は新しい取り組みを行いました。体育館をエンターテインメントスペースへと変え、新たな価値を創造しました。それまでは休憩所として使われていた場所が、ステージパフォーマンスやダンスの発表の場として生まれ変わりました。特に、ダンスのパフォーマンスには、観客が一体となって盛り上がり熱気に包まれました。今年の開橋祭ではさらに多くの人が体育館でのイベントを楽しんでおり、コンテンツも増えました。今後もこの形式は続いていくことでしょう。
ダンス部の全国大会での活躍もまた、リーダーシップの賜物です。全国大会の舞台での活躍は学校全体に誇りをもたらしました。このほかにも、皆さんの功績を挙げればきりがありません。
また、皆さんが中学2、3年の頃、新型コロナウイルスの影響でオンライン授業や半日授業、ランチは無口で、部活動の制限など、多くの困難がありました。しかし、皆さんはその中でもチームワークを磨き、尊重し合い、前向きな文化を築いてきました。イギリスFWでは、皆さんと多くの時間を共有し、数々の思い出を作ることができました。特に、ケンブリッジで一緒にイタズラした“マスタード事件”は忘れられませんね。私もたいそう怒られ、学校に戻ってからは罰として一緒に教室を掃除しましたね。そんな何気ない出来事が、私にとっても大切な思い出となっています。
この学校では生徒からもたくさんのことを学びます。5期生の皆さんから、私自身も多くのことを学びました。その中で特に印象に残っているのが、体育祭の開会式でのKくんのスピーチです。彼は「間違いをすること」の大切さを語りました。その一部を紹介します。「何かを手に入れようとする時、僕たちは必ず間違える。そうやって、僕たちの間違いが未来の方向性を狭めていく。それこそが生きることの切なさであり、驚きなのだと思います。僕はいつでも間違える勇気の方につきたい。」「僕はいつでも間違える勇気の方につきたい。」
この言葉を聞いた時、胸が熱くなりました。私なりに解釈すると、彼は色々あるけれども「不確実な挑戦にも勇気を持って踏み出すべきだ」と言っているのだと思います。新しいことを提案し、前例のないことに挑戦すると、「意味がない」「常識外れだ」「現実的ではない」などとたくさんの「できない理由」が出てきて否定されることもあります。しかし、間違いを恐れて挑戦を諦めるのではなく、むしろ挑戦すること自体が価値を持つのです。この学校のあり方を改めて教えてくれました。私自身も30代半ばの時に条件の良い民間企業の仕事から教員に挑戦する際、「間違いだ」とたくさんの人から指摘されました。しかし、心の声にしたがって教員という仕事について、皆様の成長に寄り添えること。こんな楽しいことはありません。先が見えない挑戦をして良かったと思います。
AIによる自動化が進む現代社会において、機械には代替できない「人間らしい力」が求められています。チャレンジを繰り返し、経験を積むことで培われる独自の視点や感性こそが、未来を切り拓く力となるのです。だからこそ、皆さんには、間違いを恐れず、自分の心の底から「やりたい」と思えることに勇気を持って挑戦してほしいと思います。もう一つお願いがあります。昨今の世界では保守化し、自分の意見が通らないと恐怖や圧力、戦争で従わせてしまおうという機運も少しずつ出てきています。こうした変化が起こりつつあるからこそ、5期生の多様な考えや価値観を受け入れて他人を尊重する、という資質が大切なのです。主体的に考え、平和に貢献していってほしいと思います。
学校では多くの生徒が悩みを共有し、高みを目指し、夢を語ってくれました。物事がうまくいけばもちろん素晴らしいことです。しかし、うまくいかなくても、ありのままの自分を大切にし、前向きに努力し続けること、挑戦し続けることが重要です。卒業後も、我々は皆さんをサポートし続けます。大丈夫。皆さんはどんな風の中でも力強く羽ばたいていけます。
最後に、学校の運営にご理解とご協力をいただいた保護者の皆様にあらためて深く感謝申し上げます。そして、生徒が主体的に活動できる学年文化を作り、粘り強く寄り添い続けてくださった先生方にも改めて感謝いたします。
138名の皆さんの門出を心よりお祝いし、皆様のご健勝とご活躍をお祈り申し上げ、校長式辞といたします。
開智日本橋学園 校長 近藤健志