【3年生MYP】メディアミックスの分析

ねらい

近年の文芸諸作品は小説から漫画・アニメ・実写映画へ、というような「文芸のメディアミックス化」が目覚ましい。本単元ではその現象に注目させ、ふたつの対象(今回は小説とアニメ映画)を例に挙げて比較させることで共通点や相違点に気づかせるとともに、なぜそのような共通点が存在したり、相違点が生まれたりするのかについて考察・分析させる。また、原作をメディアミックス化する際に、作り手がどのような点に重きを置いたり、留意しているのかについて分析させることで、受け手側の捉え方だけでなく、作り手の意図に対しての理解を深めさせることもねらいとする。

 

概要

【1時間目】

(目標)メディアミックスの概要・言葉の意味を知る。 

・chromebookを活用し、メディアミックスについての意味を調べる。

・インターネットから得られた情報を自分の言葉でまとめる。

【2~4時間目】

(目標)ひとつの作品を鑑賞し、分析する。

・アニメ映画「時をかける少女」(細田守、2006)を観る。 

・話の展開や登場人物、場面などをおさえる。

・アニメ映画の感想を書く。

【5~7時間目】

(目標)作品を読み、比較・分析する。

 ・小説「時をかける少女」(筒井康隆、1967)を読む。

・小説の感想を書く。

・話の展開や登場人物、場面などをおさえながら、アニメ映画との共通点・相違点を見つける。

【8~9時間目】

(目標)アイデアや意見を交換し、自分の考えを深める。

・両者の共通点と相違点を教室全体で共有する。

・なぜそのような共通点や相違点が生まれるのかを考える。

・小説からアニメ映画化するにあたり、作り手が意識した点はどこにあるのか考える。

【10時間目】

(目標)まとめの文章を書く。

・単元の総括として、分析した内容を800~1,200字程度の文章にする。

 

成果(ふりかえり)

生徒たちは文芸作品におけるメディアミックスを日常でも身近に感じているのか、単元の始まるうちから積極的な興味・関心を抱いて授業に参加していた。メディアミックスという言葉の意味を知り、単元終了時にはより発展的な視点で身近な文芸諸作品に注目するようになったり、また「本は読まないけどアニメや映画ならよく観る」という生徒にとって、原作に対する意識が少しでも向けられていたら、単元としては成功だと言える。授業中でも特に、アニメ映画に見入っていたり、純粋に感動していたり、小説を読んで率直な感想が教室内で飛び交っていたりしていた時間は有意義なものであった。

全体での意見交換のち、単元を総括する文章を書かせたが、生徒たちが全体としての意見を意識しすぎたのか、オリジナリティのある意見が少数に留まってしまったことには少しの後悔が残る。全体の意見のまとめ方には改善の余地を感じる。

シュレスタ絵玲奈)